羽田空港JAL機/海保機「衝突事故」で問われるべきは、「組織」としての日本政府・国土交通省の「重大業務上過失致死傷罪」「国際民間航空条約(シカゴ条約)違反」と「海保機機長への誣告罪・名誉毀損罪」__『幸福の「経済」 支配の「金融」』㉕[コラムD]

JAL Airplane in Flames at Haneda by Jiji Press AFP

■世界が知っているのに、日本政府・国土交通省が国民から隠し続ける2024年1月2日の羽田空港「衝突事故」の「本当の」主要因は、_①滑走路上の停止線灯の故障とその放置_②海保機のADS-Bトランスポンダー」未搭載_③緊急対応航空機専用滑走路の不在_④誤進入防止装置を常時監視する管制官の不在____「海保機機長が滑走路進入許可を得たと『誤認』した可能性」ではない

■「海保機・管制塔『交信記録の1分17秒の空白』」「海保機、滑走路上に『衝突まで40秒以上静止』の怪」「『尖閣中国船衝突ビデオ流出事件』同様の、警視庁・捜査一課特殊犯捜査係の『業務上過失致死傷』容疑での出動」____「国際民間航空条約(シカゴ条約)違反」「『容疑者』国交省による『事故調査』」他、あの事故が「事故ではなかった」可能性を深掘りする

★国土交通省は、この「事故」の「当事者」であり、「業務上過失致死傷罪」に問われるべき「本当の容疑者」である

「羽田空港は、事故が起きたC滑走路の『複数の停止線灯(stop-bar lights)が、2023年12月27日から故障している』とNOTAM(*1)に報告を挙げていた。その停止線灯が修理され作動してさえいれば、ほぼ確実に今回の事故は防げていたはず」「海保機には、[2020年以来、欧米ではほぼ全ての航空機に搭載が『義務づけ』されている最新型位置情報発信装置(*2)]『ADS-B』トランスポンダーが、搭載されていなかった」____「Flightradar24」(*3)や複数の英語圏大手メディア(*4)は、事故直後からこのように報道し、或いは「X(旧ツィッター)」などSNSで発信していました。

Tokyo Runway Collision BAE Systems AirBus

Tokyo Runway Collision (Sources: BAE Systems, Airbus) __「Out of service stop-bar lights(故障中の停止線灯)」「the stop-bar lights have been out of service since Dec. 27(停止線灯が昨年12月27日からずっと故障中だった)」の文字が見える(Bloomberg記事からのスクリーン・ショット)

「停止線灯」とは、謂わば「滑走路の信号機」で、「管制官が『滑走路への進入を許可』したとしても、『停止線灯』が『GOサイン』を示していなければ、管制官の指示の方を拒否すべし」とパイロットたちが訓練されているほど重要で、「故障中の場合は先導車を使用すべし」との勧告が、日本も加入している国連専門機関「国際民間航空機関(ICAO)」から出ているほどのものです。

そして「ADS-Bトランスポンダー」とは、従来の識別信号発信機「TCAS」をさらに進化させて、自機の位置を緯度経度の座標情報を含んだ信号で、周囲にいる他の航空機に発信するシステムです。この「ADS-Bトランスポンダー」を海保機「みずなぎ1号」が搭載していたならば、着陸するため高度を下げ接近してきたJAL機パイロットが滑走路上の海保機をたとえ目視できなくとも、計器が海保機からの信号を捉えて警告音を発し、JAL機は直前で「ゴー・アラウンド」して確実に衝突回避できたのです。

また、ロンドン大学キングズ・カレッジのアレッジオ・パタラノ教授がBBCに語ったところによると、日本では他の先進国と異なり、今回「能登半島地震」の被災者救援物資を運んでいた海保機のような「緊急対応航空機」が、他の民間商業機と「常に」滑走路を共用しなければならないという制度的不備も、この衝突事故の大きな要因の一つとなっている、ということです。(*5)

さらに、「国土交通省によると、C滑走路については、2人の管制官が担当していました。1人がC滑走路を中心に受け持ち、もう一人が誘導路などを受け持っていたということです。それぞれ同時に複数の航空機を扱っていた」(*6)___このことは、国交省が発表した事故当時の「交信記録」(*7)によって裏付けられます。

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「JA722AとJAL516に関する交信記録 発生年月日 令和6年1月2日」

上掲「交信記録」が表している17時43分02秒から「衝突発生」の17時47分27秒までの間(約4分半)だけでも、「C滑走路」をめぐって、到着機が2機(No.1=日航事故機JAL516、No.2=JAL166)そして出発機が3機(No.1=海保事故機JA722A、No.2=DAL276、No.3=JAL179__滑走路停止位置はNo.1がC5、No.2とNo.3がC1)の計5機が管制塔と交信していました。「交信記録」は、この5機との交信だけでもほぼ「ひっきりなし」状態であったことを示しています。

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2010年から導入された滑走路監視・警告システムのイメージ(NHKによる)

「2007年に滑走路に誤進入する事案が相次いで発生したため、羽田では2010年に滑走路の監視システムを導入。これは、機体などが滑走路に進入すると管制官のモニターに赤く表示されるというもので、今回もシステムが作動していた」(*8)ものの、しかしながら、国土交通省の担当者が事故後説明したところによれば、「管制業務は、原則目視で行われ、このモニターは、あくまで補助的なもの。常時、モニターをチェックする運用は行っていなかった」(*9)といいます。事実、羽田管制塔内で滑走路上を双眼鏡で目視・確認している管制官の様子が、今回の事故を報じるTVニュースで紹介されていました。(*10)

これらの事実は、管制官業務の「オーバーロード」を示唆しています。先述のC滑走路担当の管制官が事故後、国土交通省の聞き取りに対し「海保機の進入に気づかなかった」と説明していた(*11)ことが判明していますが、それは管制官の「無能」や「怠慢」のせいではなく「人員不足」のせいであること、それを国交省も(本意か不本意かはともかく)認めているのであろうことは、1月5日、斉藤鉄夫国土交通相が「滑走路への誤進入を防止するレーダー画面を『常時』監視する人員を羽田空港の管制に配置する方針(翌6日から実施)を明らかにした」(*12)ことからも伺えます。

そもそも、羽田空港の所有者は国土交通省、運営者は国土交通大臣であり、海保機の所有者である海上保安庁は国土交通省の外局____。国土交通省は、最も控えめな表現を使っても、「今回の『事故』の『当事者』」です。常識的に考えて、客観的・第三者的立場から行わねばならないはずの「事故調査」を、「当事者」たる国土交通省の運輸安全委員会が行うこと自体が、国民に説明されるべき第一の不審点ですが、政府・国交省と、事故の全容がまだ何もわかっていない事故当日=2日の時点で早くも「業務上過失致死傷」を持ち出して捜査に乗り出した警視庁、そしてそれらに追従する大手メディアは、上述の「今次事故原因と思われる4大事案」を完全無視して、6人の海保機クルーの唯一の生存者=海保機長に全ての罪を被せようとしているように見えます。

★日本と世界に政府・国交省とメディアが与えた先入観「海保機機長の『離陸許可誤認・滑走路誤進入』が事故原因」説を完全否定する「衝突『1分前』に滑走路進入・40秒静止」空港ライブビデオ記録

「管制塔は海保機に『離陸許可』を出していないにも拘らず、海保機長がこれを『誤認、或いは無視』して滑走路に進入したことが事故の主原因」____大方のメディアが示しているこの「管制塔は『離陸許可』を出していない」との断定は、「『滑走路に入る許可』を示す用語『LINE UP AND WAIT』が交信記録になかった」という、ただ一つの根拠に基づいています。しかし、「交信記録」を作成・公表したのは「業務上過失致死傷の『本当の』容疑者」である国交省の外局「運輸安全委員会」であり、「交信記録から都合の悪い部分を削除することが可能」な立場にありました。この事実を踏まえながら、交信記録を見てみましょう。

  • 17時45分01秒:JAL516「滑走路34R、着陸支障なし。JAL516」
  • 17時45分11秒:JA722A(海保機)「タワー[へ、こちら]JA722A、C[誘導路上です]」_管制塔「JA722A[へ、こちら]東京タワー、こんばんは、[出発]1番目。滑走路停止位置C5まで地上走行してください」
  • 17時45分19秒:JA722A「滑走路停止位置C5まで地上走行します。JA722A、[出発]1番目、ありがとう」

17時45分19秒__(「衝突」の17時47分27秒まで、2分11秒)__海保機から管制塔指示への「復唱」が、海保機の「交信記録上の」最後の交信となります。この時、海保機長は「Taxi to holding point C5」と、管制官の「停止位置C5まで走行(=C5で停止)」の指示を「正しく復唱」しています。

一般的に、管制官から指示を受けた時、機長は副機長と管制指示を確認したうえで「復唱」します。事故機「みずなぎ1号」は、「[クルー6人]全員がヘッドホンとマイクが一体化した航空用ヘッドセットを装着し管制塔との無線交信を聞き取れる状況だった」(*13)こともあり、万が一、管制官が「C5で止まれ」の指示を出しているのに機長がC5を越えて滑走路に進入しようとしても、「今の指示は『進入許可』ではありません」と、5人のうち誰かが必ず、機長に進言するはず____「いや、それは憶測だ。機長に進言できないヒエラルキー的『空気』があったかもしれない」という意見もあるでしょうが、「海保機長が誤認」もまた憶測にすぎない、ということは確認しておかねばなりません。

ここに、「憶測」ではない厳然たる事実があります。羽田空港のライブカメラ映像を分析した日本経済新聞は、「衝突の1分前に海保機は滑走路に向けて動いていた。[衝突の]約40秒前、滑走路上で停止した。」(*14)としています。もし仮に海保機長が17時45分19秒の管制塔指示を「滑走路進入許可」と「誤認」したのであれば、滑走路への進入は「復唱後すぐ」__すなわち「衝突の2分前」であるはずですが、そうではなく、「復唱の1分後」「衝突の1分前」なのです。

「海保機は[17時45分19秒に『C5に向かいます』と復唱したが、停止線で停止せず]C5から滑走路に進入。そのまま40秒間止まっていた」(*15)といった報道も散見されますが、これは「復唱後すぐ進入」ということなので、ライブカメラ映像の時間とは矛盾が生じます。そのことを考えれば、これは同じくよく言われている「海保機側が『1番目(の離陸予定だ)』と伝えた管制の指示を優先離陸と誤認した可能性もある」という「憶測」に蓋然性を持たせる「ためにする論」である、ということです。

海保機長は、2023年12月末時点で総飛行時間3641時間、機長歴4年11か月のベテランであり、羽田空港内にある海上保安庁羽田航空基地には、2019年4月から所属しているのです。当然、羽田空港での離発着もこれが初めてではないはずで、管制塔の使う「No.1」という言葉が「優先離陸」を意味しないことも、知っているはずではないでしょうか。

★「交信記録」に見える「1分17秒の『疑惑』の空白」

17時43分02秒から「衝突」のあった17時47分27秒まで「ほぼひっきりなし」の交信で埋まっている「交信記録」には、実は「1分超の空白」が2か所あります。

そのうち1つ目は海保機JA722Aが管制塔に交信する前なので脇へ置くとして、問題となるのは2つ目です。その「空白」は、17時46分06秒[JAL516の後ろから滑走路C(=34R)に接近する到着機2番目JAL166機から管制塔への交信]と、「衝突」の4秒前、17時47分23秒[JAL166 機への管制塔の減速指示]の間の「1分17秒」____「17時46分06秒」といえば、「衝突の1分前」、つまり「海保機がC5から滑走路に進入し、滑走路上を50~100m地上走行して停止」したまさにその時間帯です。

重傷を負いながらただ一人事故から生還した海保機長は、海上保安庁の聞き取りに対し「進入許可を受けたうえで滑走路に進入した」「離陸の許可を得ていた」(*16)「他のクルーにも確認した」(*17)と言っています。

機長の言う「進入許可」「離陸許可」がこの「空白」の間に実際に出されていた、そしてそれを、1月3日早朝に海保機のボイスレコーダーを回収し、「交信記録」を作成・公表した国交省と関係諸外国の「事故調査団」(*18)が削除した____その可能性は、ゼロではありません。

「国土交通省の聞き取り」によれば、管制官は「滑走路の手前まで進むよう指示した」「別の航空機の調整などがあり、その後の動きは意識していなかった」と言っていますが、これは上述した「海保機の[滑走路への]進入に気づかなかった」という証言と合わせてみれば、本当に「海保機の存在を失念していた」ということを表しているとも取れます。海保機への「進入・離陸許可」は、別のところから出されたものであって、管制官は関知していなかったことなのかもしれません。1990年の映画『ダイハード2』で空港の管制システムがテロリストに乗っ取られたように、ハッキングによって管制塔以外の場所から「偽の管制指示」を航空機に出すことは可能なだけでなく、「造作もないこと」です。

★「海保機、滑走路上で40秒間静止」に感じられる「冷徹な悪意」

海上保安庁関係者によると、海保機が滑走路上で40秒間停止していたことについて、「仮に離着陸の合間を縫って海保の航空機が離陸する場合には40秒待つことは異常で、管制と『まだですか?』というやり取りになるはずだ」ということです。(*19)

海保機機長は、先述の海上保安庁の聞き取りで「衝突」の瞬間の様子を「エンジン出力を上げたところ後ろから突っ込まれた」と話しています。全日空の元機長で航空評論家の井上伸一はこの件に関し、「出発前の最後の計器の確認をしていたとしても、40秒は長いと感じる。離陸許可を待っていたのではないかとも感じるが、海保機の機長は『エンジンの出力を上げた』と話しているということなので、つじつまが合わない。一方で、日航機の存在を認識していて『あの機体より早く離陸しなければいけない』と判断していたとすれば、40秒の待機は長過ぎる。いずれも不自然だ」(*20)といっていますが、それでは「辻褄が合う」推論はどんなものなのか、考えてみましょう。

海保機は、「17時46分過ぎ、『管制塔』(?)から滑走路への進入許可を受けたと6人のクルー全員が認識」し、滑走路34Rへ進入、50~100mほど地上走行し、「LINE UP AND WAIT」の指示通り、滑走路上に停止して計器の確認をしながら十数秒「離陸許可」を待ちますが、遅いので「まだですか」と問い、「『管制塔』(?)から離陸許可を得て」「離陸のためエンジン出力を上げたところ、後ろから突っ込まれた」____。

この推論が正しければ、それが導き出すものは、「この事故が、事故ではなかったという真実」「悪意の存在」です。

先述の元全日空機長・井上伸一は、「今回の衝突地点は、着陸時に車輪が接地する『タッチダウンゾーン』に非常に近く、50メートルから100メートルくらいしか離れていない。このタッチダウンゾーンの灯火は非常に明るいという特徴がある。海保機が動かず、40秒にわたって停止していたことでかえって、強い明かりに紛れてしまったのではないか」(*21)と言っています。

海保機は、「まるで企図されたかのように」、「羽田空港で一番長く、一番忙しいC滑走路の」、「強い光に紛れて着陸機から見えにくく」、「『タッチダウンゾーン』よりもかなり手前に在って着陸機と衝突する危険の少ない停止地点C1ではなく」、「『タッチダウンゾーン』に『非常に近い』停止地点C5に誘導され」、そこから「JAL516機の『タッチダウン』に合わせた時間に滑走路進入を指示され」、「『タッチダウン』のその瞬間に『じっとしているように』40秒間停止させられていた」と思われます。

これはあくまでも「推論」です。しかし、少し考えてみれば導き出されるであろうこの「推論」が、冒頭に示した「4大要因」とともに一貫して無視され続けているという「事実」は、心に留め置かれる必要があります。

★「政府・国交省」という組織と制度を裁かず「国民=海保機長・管制官」という個人を社会的に抹殺する「業務上過失致死傷罪」は、日本政府と金融資本主義の組織的・制度的「歪み」の顕れ

国際社会が「これが機能していたら羽田の衝突事故は起こらなかった」と言っている「停止線灯」は、「管制官が離陸を許可するまでは誘導路の赤色の停止線灯が点灯し、管制官から滑走路への進入が許可されれば停止線灯が消え、誘導路の中心線が点灯する仕組み」で、羽田を含む全国14空港「のみ」で導入されていますが、国交省によると、「羽田空港では、視程が600メートル以下、または、管制官が必要と判断した場合に使われる。管制官が進入を許可した際、手動で停止線の点灯を消し、進路を点灯させる」(*22)という「管制官に負担を強いる」形での「限定的運用」がされていました。しかも、「羽田空港の停止線灯は昨年4月から、メンテナンスのために運用を停止していた」(*23)と国交省は言っています。これは国交省が「NOTAM」に上げた「昨年12月27日から故障中」という報告よりも更に悪い状況です。

海外からの批判に反論する形で、国交省広報担当者が「仮に運用中だったとしても事故当時は、視程が5千メートル以上だったため条件に当てはまっていなかった」(*24)と話していますが、完全に論点がずれています。

先述した日本も批准している「国際民間航空条約」の付属書は、いかなる視程や気象状況でも誤進入が起こる可能性を指摘し、「夜間及び550メートルを超える視程であっても、停止線灯を使用することが効果的な誤進入予防策の一つとなり得る」と記載している____つまり、停止線灯の運用は「常時」であるべき、と言っているからです。

八田洋一郎・元日本航空機長は、「世界の一部の空港ではゲートから滑走路までの誘導路上にもライトが設置され、ライトに沿って行けば滑走路に到達。停止線灯が点灯し、進入できる状況になれば消灯するため、土地勘がなくても進行しやすかった」「誤進入の対策として、視界の良しあしにかかわらず、日常的に使われるようになることが有効だ。費用や管制官の負担は増えるが、二度と同じような事故を起こさないためにも必要だ」と話しています。(*25)

機体が滑走路に誤進入するとモニター上で赤く表示され、滑走路も黄色く点滅する『滑走路占有監視支援機能』という先述のシステムに関しても、当日も稼働していたにも拘わらず、約40秒間にわたり滑走路上で静止していた海保機に、管制官は気付かなかった__つまり、見落としていた____。

国交省航空局によると、「[羽田の管制塔には14~15人の管制官がおり、事故当時C滑走路は2人が担当していたが、]1人の管制官が一度に複数機を担当しているため、常時、目視して確認するのは難しい。物理的にできない部分もあり、ルールは作られていません」(*26)としていますが、「物理的にできない」とはまさに「その人的配置には無理がある」ということを意味しています。管制官が「見落としてしまった」原因は、「無理のないルールをきちんと作らなかった」管理者=国交省にある、ということです。

にも拘らず、国交省は「事故調査」を自らの都合よく主導し、なおかつ警視庁が「業務上過失致死傷罪」での「事件捜査」を同時進行することによって「この事故で悪いのは海保機長と管制官」という誤った印象を国民に与え続けています。

この「業務上過失致死傷罪」の本質は、「『国・政府・行政』など権力組織・制度の罪は問わず、過って事故を起こしてしまった個人すなわち無力な『国民』を裁き、精神的ダメージを与え、社会的に破滅させる」のみならず、「事故」の本当の原因解明を困難にし、そのような「事故」が二度と起こらないようにする制度的改善を阻害するものです。

だからこそ、「国際民間航空条約」は「事故調査」の結果を刑事捜査や裁判証拠に利用することを禁じ、「罪または責任を課する全ての司法上、行政上の手続きは、調査とは切り離すべきだ」(*27)として、事故当時者を「過失」などの罪に問わないことを謳っているのです。(ただし、この条文には「明らかな犯罪の証拠がある場合を除き」とありますが、「明らかな犯罪の証拠がある場合」、それは「事故」ではなく「犯罪」「事件」であるので、「事故」を「過失」とする「業務上過失致死傷」という罪を設置すること自体が間違っているのだということの確認が必要かもしれません。)

いずれにせよ、戦後、連合国=国連の「基地植民地」となり「国連至上主義」をモットーにしてきた日本が、航空機事故が起これば警察が「事故原因を特定することを目的とした『事件捜査』」を「事故調査」と同時進行で行うことを「通例」とすることで、国際連合経済社会理事会の専門機関の一つである「国際民間航空機関」の条約に違反し続けていることには違和感を覚えます。

それには、15の国連専門機関のうち世界保健機関(WHO)、国連食糧農業機関(FAO)、国連工業開発機関(UNIDO)、国際電気通信連合(ITU)とともに国際民間航空機関(ICAO)を中国が支配している(*28)という事実が関係しているのでしょうか?

また、海保関係者によると、海保機長が、事故の前日、すなわち能登半島地震が起こった1月1日に、「約1700キロ南にある日本最南端の東京都・沖ノ鳥島の周辺海域で中国海洋調査船が活動中との情報があり」「午前10時、[『みずなぎ1号』とは別の機体で] 警戒監視に向かった」「沖ノ鳥島周辺との間を約7時間飛行し[ながら]中国船への対応を続け、能登半島地震発生から間もない同午後5時頃に羽田空港に戻った」(*29)という事実もあります。国交省が気にしているような、「そのせいで体調が不良だった」とかいう話ではありません。そこで何か見たのか、という話です。

そして、「みずなぎ1号」は、2011年3月11日に発生した東日本大震災による津波で仙台空港にて被災し、修復されて約1年後の2012年3月29日、仙台空港での被災機では唯一復帰した機体であったそうです。同機は、1日に起きた能登半島地震の被災者救援物資を輸送するため、事故前の24時間で2往復していました。

国交省の運輸安全委員会の「事故調査」でも、警視庁・捜査一課特殊犯捜査係の「業務上過失致死傷・特殊過失捜査」でも、絶対に調査されないであろうと思われること、しかし、本当は最も重点を置いて調査し、国民に周知されなければならないことは、「羽田空港と横田空域」の問題及び「この事故の裏で動いた巨額のお金」についてですが、それは稿を別にして考察します。

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(*1)「NOTAM(Notice for Air Men / Air Mission )『ノータム』」とは航空情報の一種であり、航空関係施設、業務、方式と危険等に係わる設定や状態、変更等のような情報を操縦士等に知らせることが目的で、その情報の内容が一時的かつ短期間のものが中心。国際民間航空条約第15付属書「航空情報業務(Aeronautical Information Services)」の指針に従い、航空官署が作成・送信する。日本では、2007年(平成19年)7月1日から成田国際空港に置かれた国土交通省航空局航空情報センター(AISセンター)の運用が開始され、NOTAM等の航空情報を一元的に管理・発行をしている。(NOTAM Wikipediaより)

(*2)「羽田衝突事故『海保機に非搭載だった』と海外メディア報じる装置とは 欧米で義務化 日本は事故後も“沈黙”」乗り物ニュース、1月15日(月) 6:12配信https://trafficnews.jp/post/130415

(*3)「Flightradar24」とは、インターネットに拠点を置いて世界の航空機の地図上の位置を即時的に追跡する、スウェーデン系情報サービス。

(*4)例えば__“Japan plane crash: Runway warning lights were ‘unserviceable’ at time, report says” Sky News, Updated 5 January 2024 https://uk.news.yahoo.com/japan-plane-crash-runway-warning-153500661.html

_“Runway warning lights were broken at time of Japan Airlines plane fire, report shows” ABC News, January 4, 2024, 5:03 AM by Karson Yiu and Kevin Shalvey https://abcnews.go.com/International/japan-airlines-flight-crew-acknowledged-repeated-permission-land/story?id=106066266

(*5)“What we know so far about the plane crash in Tokyo, Japan” inews, 2 January 2024 3:59pm Updated 4:43 pm (ブログ筆者注:GMT=日本時間-9h) By Emilia Randall https://inews.co.uk/news/what-we-know-so-far-about-the-plane-crash-in-tokyo-japan-2833387

(*6)「羽田空港で日本航空機と海上保安庁機が衝突・炎上 何があったのか」NHKブログ 解説委員室(中村幸司解説委員)2024年01月05日 (金) https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/490851.html

(*7)「交信記録」の内容は、1月2日17時43分02秒__事故当該日航機JAL516から管制塔への通信「東京タワー(=管制塔)[へ、こちら]JAL516、スポット18です」と、それへの管制塔からの返答「JAL516[へ、こちら]東京タワー、こんばんは。滑走路34Rに進入を継続してください。風320度7ノット。出発待機在り」__から、17時47分27秒(事故発生のため「3秒無言」)まで。

「JAL機炎上、そのとき何が__検証・羽田空港衝突事故」(日本経済新聞 2024年1月9日 公開)に掲載された「交信記録」_前掲画像英文をブログ筆者が拙訳。 https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/haneda-runway-collision/

(*8)「日航機衝突“赤表示”気づけず? 海保機、滑走路上で『40秒間停止』」テレ朝ニュース2024年1月8日 17:33配信(ニュース映像の書き起こし記事)https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000331522.html

(*9)「NHK WEB 特集 最新報告:航空機衝突事故はなぜ起きたのか その時パイロットは」2024年1月19日 18時19分(1月10日 クローズアップ現代などで放送)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240119/k10014323101000.html

(*10)(*8)に同じ

(*11)「海保機、優先離陸と誤認か 管制指示『他のクルーも確認』」産経新聞オンライン 2024年1月6日01:00配信(『 』はブログ筆者が後付) https://www.sankei.com/article/20240106-WUBKW2V5BBNHXMJXBM3RUYXNIY/

(*12)「羽田空港、誤進入防止装置の監視員配置 8日からC滑走路再開へ」Reuters 久保信博 2024年1月5日午後 7:14 GMT+92ヶ月前更新 (『 』及び( )はブログ筆者が後付) https://jp.reuters.com/world/japan/YTGMSS33BVIHDLY2MQ5JGAW6FQ-2024-01-05/

(*13)(*11)1月6日配信『産経新聞』

(*14)(*7)1月9日配信『日本経済新聞』__ただし、「ライブストリーミングされた映像では、燃料を積んだ海保機のDHCダッシュ8が滑走路に並び、JALのワイドボディー機に衝突するまでの『約47秒間』、静止していたように見える」とする記事もあります。(『 』はブログ筆者による付与)

「羽田の事故原因究明へ音声・データ記録の解析目指す-国際調査チーム」Bloomberg 高橋ニコラス、Danny Lee 2024年1月4日 22:25 JST(日本標準時) 更新日時 2024年1月5日 10:11 JST  https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-01-04/S6QFOBDWRGG000

(*15)(*11)に同じ

(*16)(*9)1月19日配信『NHK WEB特集』

(*17)(*11)に同じ

(*18)「国際調査団」は、日本の国交省・運輸安全委員会(JTSB)を中心に、JAL516機を製造したエアバス社とフランス航空事故調査局 (BEA)の他、ドイツの連邦航空機事故調査局 (BFU)、ロールス・ロイス社製エンジンの製造国であるイギリスの航空事故調査局 (AAIB)、海保機がカナダ製であることからカナダ運輸安全委員会 (TSB) 、機体の製造元であるデ・ハビランド・カナダ社とエンジンの製造元であるプラット・アンド・ホイットニー・カナダ社の代表者と技術顧問、さらに海保機のコックピットボイスレコーダーはハネウェル製、その他の機器はL3ハリス・テクノロジーズ製と、共にアメリカ製である事から、アメリカ国家運輸安全委員会 (NTSB) __といった面々で構成されています。(羽田空港地上衝突事故 Wikipediaより)つまり、「国際事故調査団」のメンバーは全てがこの事故の「当事者」なのです。

海保機「みずなぎ1号」のコックピット・ボイスレコーダー(CVR)は、日本の国交省ではなくこのアメリカ国家運輸安全委員会が最初に「徴収」してしまった、という航空業界関係者の話もあります。

(*19)(*8)1月8日配信『テレ朝ニュース』

(*20)(*9)に同じ

(*21)(*9)に同じ

(*22)「羽田空港の停止線灯、事故時は保守作業で休止中 誤進入防ぐため導入[日航機・海保機事故]」朝日新聞デジタル 角詠之 伊藤和行2024年1月6日 19時00分 https://www.asahi.com/articles/ASS165W1CS16UTIL00J.html

(*23)(*24)(*25)(*26)同上

(*27)「『事故調査を最優先にして』航空関係者が刑事捜査に反発する理由とは 羽田衝突事故 調査と捜査の大きな違い」東京新聞(木原育子)2024年1月13日 https://www.tokyo-np.co.jp/article/302427

また、以下の記事も参考にしました。

_「航空界最大の団体となるJFASが羽田空港での衝突事故で緊急声明 警察主導の事故調査に危機感」sky-budget 2024年1月5日 https://sky-budget.com/2024/01/05/japan-aviation-news-11/

_「JAL機と海保機の衝突事故で日本乗員組合連絡会議と世界の10万人のパイロットが所属する国際定期航空操縦士協会連合会が緊急声明」sky-budget 2024年1月7日https://sky-budget.com/2024/01/07/alpa-japan/

(*28)「中国の野望『国連支配』、狙われる専門機関ポスト__WHOだけではない、中国に支配される国際機関」日本戦略研究フォーラム( JB Press)2021年10月15日 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67284

(*29)「海保機長、衝突事故の前日に中国公船警戒で7時間飛行…運輸安全委は当時の健康状態確認へ」読売新聞オンライン 2024年1月6日 https://www.yomiuri.co.jp/national/20240106-OYT1T50149/