1947年9月25日、昭和天皇の憲法の師・清水澄博士、大日本帝国憲法に殉ず

『日本国憲法』は、「国民の総意により」成立していない__美濃部達吉顧問官は「憲法改正」に反対して起立せず、枢密院議長・清水澄博士は連合国の無法な「新憲法」制定に抗議の意を表すため、入水自殺した

清水博士の「自決の辞」は、新憲法施行の日の1947年5月3日に書かれた。

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釜坂信幸氏ブログ 『枢密院議長、清水澄博士の思い…。』より

この「自決の辞」に言及されている「共和制採用を希望する私擬憲法案」とは、高野岩三郎の『日本共和国憲法私案要綱』のことであろう。

元東京大学経済学部教授であり、社会統計学者であった高野岩三郎は、敗戦直後の1945年10月29日、左派の同志と共に「憲法研究会」を設立、同年12月に『憲法草案要綱』を発表した。

高野はこの『憲法草案要綱』で「天皇制廃止」「国民主権」を唱え、GHQも新憲法草案の作成の参考にしたそうであるが、左派の「憲法研究会」でも最も過激な左翼思想の持主であったため、GHQ憲法草案の「象徴天皇制」すらも生温い、とばかりに「大統領制」「土地国有化」などを盛り込んだ『日本共和国憲法私案要綱』を発表。自身の所属する「憲法研究会」を含め、天皇制存続を容認する潮流を「囚われたる民衆」と称して批判した。(参考:高野岩三郎 wikipedia)

GHQは、『日本国憲法』の制定が連合国によってなされたことも、その無法で卑劣なる制定に抗議して入水自殺した枢密院議長・清水博士や、不起立で反対の意を示した美濃部達吉顧問官など強硬な反対者がいたことも、当然ながら検閲によって、国民に知られないようにした。(当ブログ別稿『「日本人の魂の武装解除」:GHQ検閲リスト30項目で連合国が隠したかったこと』をご参照ください。)

日本国憲法改正の勅語、憲法公布記念式典の勅語には「日本国民の総意に基いて…」「この憲法は…自由に表明された国民の総意によって確定されたのである…」とある。が、これもGHQの脅迫に怖気づいた日本政府が、何とかつじつま合わせに天皇陛下にお願いして書いていただいたものである、と当時の法制局長官・入江俊郎氏が、1954年の自由党憲法調査会に於いて告白している。(p.73 菅原裕『日本国憲法失効論』新装版)

占領下の日本には、立憲君主の天皇を棄て、『日本国憲法』を自ら選び取る「自由に表明された国民の総意」など、かけらも存在していなかった。

高野岩三郎の『憲法草案要綱』の「国民主権」などを、GHQが参考にしたらしいことを以て、「『日本国憲法』は『押し付け憲法』ではない、日本人の発案によるものである」などと言う輩もあるが、連合国・国際共産主義者であろうと日本人の社会主義者であろうと、「万世一系の天皇がこれを統治する」=「日本の国体」を、姑息卑怯な手を使って改変しようとしたことに変わりはない。

高野は「象徴天皇制」を生温いといい、「天皇制廃止」「共和制」をしつこく主張したが、連合国は、「天皇制廃止」を諦めたのではなかった。

連合国は、『日本国憲法』の「象徴天皇」という「不思議な言葉」によって、「日本の国体が護持された」と日本国民と天皇を騙し、「国体破壊の時限爆弾」を仕掛けたのである。

天皇は、連合国によって、その主権者=元首=立憲君主としての地位を簒奪された。

天皇の正当な地位を、近代的立憲主義のもとに規定した大日本帝国憲法を、連合国は「天皇制強権支配の温床」と呼んで廃棄し、その代わりに『日本国憲法』という「連合国への隷従宣誓書」を、「日本人自身が自由な意思で選び取った」という虚構を打ち立て、世界に宣伝し、徹底的な検閲とプロパガンダで日本人を洗脳した。その洗脳は、今も続いている。

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War Guilt Information Program という洗脳プログラムには、「東京裁判」も含まれるが、最も日本国民一般に影響を与えたのは、連合国の「東京裁判史観」=「太平洋戦争史」(「大東亜戦争」の名称は検閲によって禁止された)に基づくNHKラジオの『真相箱』であろう。(先述の高野岩三郎は、占領初期より検閲・公職追放リスト作成などでGHQに協力した5100人の日本人のリーダー格として活躍し、1946年、GHQのプロパガンダ機関と堕したNHKの戦後初代会長に就任している。社会党顧問でもあった。)

WGIPが振りまいた「戦前の日本は悪かった」「大日本帝国憲法は悪法だった」という嘘の刷り込みが、「大日本帝国憲法を改正」し「民主的で正しい」『日本国憲法』を日本人に「受け入れ」させる土壌をつくった。

清水博士はご自分の無力を嘆いて入水し、「幽界より国体を護持」せんとされた。今、「戦後レジーム」という名の連合国利権を失いたくない利己的な輩が跳梁跋扈する日本に於いては、国民は誰も『日本国憲法』無効論の存在すら知らされず、「無効論」を知る少数の国民ができることの微小さは、占領下のそれと、さほど変わっていない。

だが、日本人は、最後まであきらめない。

清水澄博士の、大日本帝国憲法と天皇陛下への御忠義と誠心が、私達日本人に勇気を与えてくださることを念じ、ここに博士のご冥福をお祈りし、博士の御遺志を継いでいくことを誓うものである。

すめらぎいやさか。

(日本人が『日本国憲法』の真実を知るために、是非読んでおきたい参考図書を以下に挙げます。特に国会議員・官僚・学者、そして「有識者会議」のメンバーの皆さんは必読。逆説的ですが、「無効論」を知れば、「有識者会議」も、「特措法」「特例法」も、『皇室典範』改正も、「憲法改正」も、全く必要ないことが、そして、寧ろ害悪をしかもたらさないことが、お解かり頂けます。『日本国憲法』とGHQ『皇室典範』の無効確認と、大日本帝国憲法と明治の皇室典範の現存確認で、天皇陛下の譲位のご意向を速やかに実現し、なおかつ天皇に主権者=元首=立憲君主としての政治的権威をお返しすることで、正気を無くした日本人に喝を入れる。それが、今一番にしなければならない大切なことです。)

「日本人の魂の武装解除」:GHQ検閲リスト30項目で連合国が隠したかったこと

戦勝国アメリカは「封建主義によって抑圧された日本人を指導し、自由と民主主義への栄光ある道を歩ませる」と意気揚々と日本に乗り込んできた。「文明的支配者」として「野蛮な後進国・日本」を「調教」する為に、アメリカ占領軍はやってきた。

だが、実際にGHQが日本占領中に行ったことは、自らの戦争犯罪「無辜の非交戦者の非道な手段による殺害」=「人道に対する罪」を糊塗するために、検閲・洗脳を以て日本の歴史を捏造し、伝統を破壊すること、そして日本人が二度と米国と連合国に歯向かわないよう物理的・精神的に、永遠に武装解除することであった。

そのために占領軍はWar Guilt Information Programという洗脳工作を実施した。これは日本人に対するだけでなく、同時に国際社会に発信され、「世界のだれもがそう思っている」という相乗効果を生み、虚偽が事実として拡散された。

連合国は東京裁判で日本軍将兵・日本政府高官・官僚のみに留まらず、言外に日本人全体を犯罪者扱いし、「一億総前科者」の心理的刻印を押した。

GHQと極東委員会は、共産主義的国民主権を謳う日本国憲法を、天皇と日本政府・帝国議会の顔に押し付けるような非礼・無体なやり方で強要し、「徳の高い連合国に対し、道徳的最下層に位置する我々日本人は今後絶対に武器を取って歯向かうことはいたしません」と誓わせた。

連合国に対する反省と謝罪を永遠に続けるよう、「世界で一番立派な民主的進歩的平和憲法」を批判し捨て去ることは罪悪である、という教育を推進するため、破防法により収監中の共産主義者たちが釈放され、GHQ主導で日教組が組織された。

その他、占領軍が犯した諸々の日本に対する犯罪行為を隠蔽するため、GHQは自身が日本に押し付けた「日本国憲法」も禁止する「検閲」という言論弾圧を以てした。それは「プレス・コード」という、単なる「基準」のように錯覚する名で呼ばれたが、厳然たる言論弾圧であった。

以下に記すのが30項目に及ぶ「プレス・コード」=検閲の対象リストである。これを見れば、連合国が何を隠したがっていたのかがはっきりわかる。

  1. SCAP(連合国軍最高司令官もしくは総司令部)に対する批判
  2. 軍事裁判(東京裁判)への批判
  3. SCAPが憲法を起草したことについての批判
  4. 検閲への言及
  5. アメリカ合衆国への批判
  6. ロシア(ソ連)への批判
  7. 英国への批判
  8. 朝鮮人への批判
  9. 中国への批判
  10. その他の連合国への批判
  11. (個々の連合国でなく)連合国全般への批判
  12. 満州における日本人の待遇への批判
  13. 連合国の戦前の政策への批判
  14. 第三次世界大戦への言及
  15. 西側世界対ロシアの問題(冷戦)に関する論評
  16. 直接・間接を問わず日本の戦争擁護のプロパガンダ
  17. 直接・間接を問わず日本と日本の天皇が神の子孫とその国であるというプロパガンダ
  18. 軍国主義的プロパガンダ
  19. 国粋主義的プロパガンダ
  20. 大東亜(共栄圏)プロパガンダ
  21. その他のプロパガンダ
  22. 戦争犯罪の正当化と戦犯の擁護
  23. (占領軍兵士と日本人女性の)交渉
  24. 闇市の状況
  25. 占領軍への批判
  26. (日本人の)飢餓の誇張
  27. 暴動・社会不安の扇動
  28. 虚偽の報道
  29. 不適切なSCAP(或いは地方軍政部)への言及
  30. 解禁されていない報道の公表

(The Censorship Operation in Occupied Japan  by Jun Eto; Press Control around the World  Edited by Jane Leftwich Curry and Joan R. Dassin 日本語訳: shiragamihiromi)

まずひと目見て判るのが、「日本が何故戦争へと向かって行ったか」や「日本の歴史・日本人のアイデンティティー」等に関する事柄は全て「プロパガンダ」と決め付けられている。

連合国や国際共産主義者は日本の「精神論」を毛嫌いしている。見下げている。怖がっている。それが日本の強さの源泉と解っているからだ。

その中心に在るのが天皇である。だからこそ、天皇の求心力を殺ぐ為に帝国憲法を、国際法を曲げてまでも始末しようとした。

連合国占領軍がした事が本当に「自由と民主主義の教導」であったのなら、このような言論弾圧が必要だったはずはない。

「日本国憲法」が本当に「日本人自らの意思で、帝国憲法を改正したもの」であったなら、「SCAPが『日本国憲法』草案を起草したことへの批判」を検閲で握りつぶす必要はなかった。

GHQは憲法草案の起草だけでなく、帝国議会議員選挙も統制し、また20万人(その家族を入れると100万人)が路頭に迷った「公職追放」で議会を脅迫した。

GHQは憲法「改正」と偽った「国体変更強要」が純然たる国際法(1907年ハーグ陸戦法規第43条 被占領地の法律尊重、占領中の法規改廃の禁止)違反であると知っていた。「日本人を奴隷にするものではない」とするポツダム宣言にも違反している。

そのポツダム宣言は「GHQの言うことを聞かねば原爆で日本全体が焦土と化す」とあからさまな脅しをかけていた。

占領政策の全ては、無知と曲解、捏造と欺瞞、謀略と暴力で成り立っていた。それを正当化する為の装置である「日本国憲法」は日本国民を騙しながら成立し、戦後70年を経た今でも多くの国民はその事実を知らされていない。

占領政策について少しでも調べたことのあるものなら、検閲と言う言論弾圧と洗脳を組み合わせたWar Guilt Information Programがいかに効果的に「日本人の魂の武装解除」を遂行したかに戦慄するだろう。

恐ろしいのは、占領が終わって60年以上が経過した今も、GHQの洗脳教育で育った世代が各界において自主検閲に勤しみ、戦前の日本を否定することを正義と感じるよう若い世代を教育し、先の戦争に関する「真実の探究」は悪魔の所業かのように宣伝している事である。

連合国も、学究派の真実追究を「歴史修正主義」というレッテル貼りで常に牽制している。上記検閲リストに見る「プロパガンダ」抑圧と同じ構造である。

イラク戦争終結の折、ブッシュ米国大統領は「イラク占領は『GHQ方式』でやる」といっていた。被占領国の国民を日本人のように洗脳するというのだろうか、と心配した事を思い出す。実際にどのような占領政策がとられたのかは知らない。が、日本占領が日本人に及ぼした影響、民族精神の衰退、国家の命運にまで甚大な影響を与えている、という事実を国際社会に周知することは、唯一の被爆国であるうえに、唯一の「国家ぐるみの洗脳実験体」となった国家としての、日本国の義務であると思う。